有元農場 誕生秘話 第11話 「『促成南瓜』の管理」

いよいよ促成南瓜(春南瓜)の管理作業が始まりました。

まず溝辺・楠原大地での促成南瓜栽培は基本3月上旬定植の6月収穫です。

植え付け、手入れの時期はまだ霜注意報がバンバンでる時期です。

なので温度確保の為、二重のトンネル・透明マルチ栽培になってます。

この時期トンネルを外すまでの一ヶ月半程は毎日「朝トンネルを開け、夕方閉める」この単純作業がつつ”きます。

単純作業なのですが一番重要な作業です。いくらまだまだ寒いとはいえ晴天の日にトンネルを開け忘れでもしたらなかは40度以上にもなり一発で南瓜が煮えます。また閉め忘れでもしたら霜にあたり冷害をうけこれまた終了です。

なのでたまに強風がふく日もあるのでトンネルを開けていると風でトンネルを持ち上げられ飛ばされたりと本当に毎日がドキドキでした。

ですが毎日トンネルの開け・閉めをしながら南瓜を見ていると本葉が一枚また一枚と増え日に日に成長していきます。南瓜は根をしっかりはり成長がはじまると成長のスピードが早いので見ているだけで楽しいです。

南瓜栽培には基本、つる一本出し・つる二本出しとそのどちらかで栽培していきます。今回促成南瓜はつる二本出し栽培です。

親つるをとめて、元気な子つるを二本残して二本出しにしていきます。

最初は親つる、子つるの区別もつかず二本出しやら三本出しやらごっちゃでした。

実もの野菜ではつるを伸ばし、実を何節目で実らせるかでその後の収量が全然変わってきます。

もちろん当時はそんな事もなにも知らず、南瓜がどんな風に実るかも知らなかったので西野さん(師匠)に教えて頂きながらどうにか出荷できるものを作り出す事で精一杯でした。

つるを二本出しにしてつるが伸びはじめました。まだトンネルを外すまではつるを外に出せません。なので芽かき作業をしながらつるを誘引していきます。これが本当に難しい!!

トンネルの狭い空間の中、どのつるがどの株のつるなのかごちゃごちゃしすぎて全くわかりません。

妻と二人パニックでした。たった300本手入れするのにまる三日程かかりました。

手入れが遅れれば遅れるほど全てが後手にまわり作業が詰まってきます。典型的そのパターンでした。

初めての南瓜栽培とはいえここまで難しいものかとつくつ”く思いました。

自分もそうだったんですが、「南瓜なんてどっか空いているスペースか土手にでも種をまいておけば勝手につるをはわして実がなるだろう」ぐらいのイメージが強いですよね。

初めて南瓜を作ってみてその手のかかり方にビックリしました。

「ここまでしてようやくいい南瓜が作れる」事を知りました。

 

楽に作れる野菜なんてありません。全ての野菜にそれぞれ難しさがあり技術がいる。

そして全ての野菜にできた時、それぞれに違った喜び・感動があります。

生きている間により多くの喜び・感動を味わいたいものですね。

『 百姓・百作 』実現したいものです。

 

 

次話は促成南瓜の話のつつ”きです。

 

第十一話 完